Ki-Yan Stuzio MailNews
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2016.12.09

今回はKi-Yanコラム。
木村英輝先生の魅力を、壁画制作アシスタントとして、
いつも側にいる西嶋の視点でコラム形式でお伝えします。

警察署に描かれた壁画にまつわる、
木村英輝の壁画に秘められた魅力に関するエピソードです。

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【 Ki-Yan コラム Vol.9 】"居場所を作る仕事"

居場所は"作る"ものではなく"できる"もの。

多くの場合、それは流動的なものも不動のものも含み、
目に見えるものだけでは表現し切れない。

京の都の平和の要――京都府警の内、2つの署に壁画が描かれています。
中京署には西のシンボル"白虎"、
南署には南のシンボル"赤いクジャク(朱雀)"。

警察署の壁画制作は、多くの警察関係者の方が携わり、
また多くの市民の援助や理解があって実現した、警察らしからぬ粋な試みでした。

その両現場では、
"所縁あって警察に通う子ども"たちに
壁画に筆を入れてもらうという時間が設けられました。

子どもたちの抱え込んだ深い憂いが、何らかの形で「非行」と呼ばれる姿で表出する。
誰にも触れさせる事ができなくなってしまった、心の傷や涙、そして叫びによって、
心が弱り疲れ果て、表情をなくした子どもたち。
まだ幼いはずなのに、実際の年齢の何倍も老けて見えました。

しかし彼らが、
壁画を前に手渡した絵筆に、その心を少し開いてくれたのです。

緊張と警戒で強張っていた彼らは目の前に現れた、大きな壁画。
目を開いて真っ直ぐ見つめ、一筆、筆を着くと一度に壁に集中し、
書き終わる頃には年相応のすごくニュートラルな
素敵な笑顔を浮かべていたのです。

――壁画は、いや、"木村英輝の壁画"は、こんなこともできるのか。

私は心底驚いて、感動しました。

彼らの乾いた幼い心は、
美味しい水をごくごく飲むようにみるみる潤い、
ちゃんと私の目を見てお礼を述べて、帰って行きました。

彼らのことを一番近くで見つめてきて、
壁画制作をずっと見守って下さっていたS氏が、
忙しい合間を縫いスタジオへ立ち寄って下さった時に、
こうお話して下さいました。

「あの子達はあの壁画に、"居場所"が出来たんだよ。
ここに来たら”大丈夫”だと感じたから、もう悪いことはしないよ。
あの子達はあの日の事を一生忘れないよ。

私も、仕事で疲れたり嫌なことがあったりした時に
このクジャクに会いに来るとね――すーっと、落ち着くんだよ。」

そうだったのか。

あの子たちは、居場所が無いから、
自分の中に黒くて小さな小部屋を作って、自分を守っていたのか。

居場所が出来たら、
彼らは心の部屋から出て、暖かな日の差す外を
見つめられるようになったのか。

彼らのことを思い「良かったね」と、少し涙が出ました。

木村英輝の壁画は、その居場所の中心にいつでもある。

どんな依頼でも、これは変わらないことでしょう。

その期待とも怯えともいえる気持ちに媚もせず、
むしろ意に介さぬぐらいの勢いで描き出す。
それ自体が生き物のように温かで力強いキーヤン作品は、
見るものを立ち止まらせ、感動させ、前を向かせる。

そして、壁画アシスタントの私にとっても、
それは同じで幸せな事だと、ひっそり感謝しました。

先生、お側に置いていただいて、ありがとうございます。
ここが、私の居場所です。

あなたの居場所は、どこですか?
そして、キーヤン作品に自分の居場所を見つけたことはありましたか?

もし壁画のオーナー様にお会いする機会があれば、
壁画をオファーしたきっかけを尋ねてみるのも、素敵な事かもしれません。

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